さくらんぼと梅雨の匂い
さくらんぼが届いた。
美容院がえりの私は、近所のコーギーに挨拶をして、玄関前に待ち伏せていた黒猫に待ってなと言い残して家に入った。
家に入れば回しっぱなしの洗濯物の柔軟剤の匂いと、梅雨時のワンルームの匂いがした。
そんなときに、さくらんぼが届いた。
さくらんぼは私が一人暮らしを始めてから毎年届く。箱を開けたとき、私は初めてさくらんぼの艶が羨ましいと思った。この時点で私はもう四年前より着実に歳をとったし、良い意味では自分の肌をよく見るようになった。そう無頓着ではなくなった!というプラスだ。
一粒のさくらんぼを、口に含めばそれはもう甘かった。冷えていないさくらんぼは甘ったるいぐらいに甘い。部屋の中にギャル系のお姉さんが入ってきて立ち去っても、まだ香水の匂いが強く残る感じだ。何言ってんだ。
梅雨の時期は洗濯物もワンルームの中に押し込まれ、匂いは柔軟剤の匂いと湿気の匂いで最悪だ。むしろ匂いというより臭いである。
そんな梅雨空の灰色の部屋のキッチンのシンクの上で見たさくはんぼは、光り輝いていた。
さくらんぼを食べ終わるごろには、茹だるような暑さがやって来る。私は夏がそんなに好きではない。夏で好きなことは、実家でBBQすることと、泳ぐことと、少し気持ちがギャルになるところ。嫌いなところは、満員電車で体がぶつかるところと、日焼けを気にしちゃうところ。
私の日記は、その時の気分で文体が違う。威勢が良く勢いがあるとか、ポエマーになってる時、なにかとエモさを醸し出す時、、、、。
書く場所は電車かレトロな休憩所。
5号車より愛を込めて